#31.リポバッテリーは危険なのか
リポバッテリー(LiPo)が普及して随分時間が経ったと思いますが、未だにショップで「この銃ってリポ対応ですか?壊れませんか?」と店員に質問している風景を見かけます。
見るたびに何とも言えない気持ちになるのですが、店員の回答も「使い方によっては発火します。」なんて返すものだから余計に微妙な気分になってしまいます。
そんなわけで今回は「リポバッテリーは危険なのか」というタイトルでリポバッテリーの「何が危険なのか」と「なぜリポバッテリーで銃が壊れるのか」について書いてみます。
■何が危険なのか
リポバッテリーがサバゲで普及し始めた頃に「充電していたら火を噴いた」という事例が散見されました。普通、充電しているだけで発火することなど有り得ないので大騒ぎになりました。
ここでリポバッテリー=発火というイメージが付いたように思います。
メーカー、問屋、販売店を介して販売されるバッテリーがこんなに危険なものか?
そんなことはないです。結局のところ「使用者が使い方を理解していなかった」という結論が出ています。現に今となってはフィールドで多くのユーザーがリポバッテリーを使用していますし、Twitterなんかで目立った話題になることも少なくなったと思います。
ここで消防庁が発表した資料を見てみましょう。
ここでは丁寧に充電方式と過充電となる原因について解説するとともに、4件の発火事例の詳細と想定される発火原因について言及しています。
内容を大雑把にまとめると下記のようになります。
□充電方式について
・以前まで普及していたニッカドまたはニッケル水素充電池とは充電方式が異なる
・ニッカドとニッケル水素と異なり各セルの充電状況を均一にする必要がある
・充電終了を検知する方法も異なる
□発火事例(原因)について
・変形または膨れのあるリポバッテリーを充電した
・ニッカド電池を充電する設定で充電してしまった
以上の5点には無論関係性があり、変形や膨れのあるセルはバランスが取れていない証拠であり、他のバッテリーの充電機(または充電方式)での充電は過充電に繋がります。ハッキリ言えば使い方の問題でありヒューマンエラーでしかないということです。
だから「ちゃんと使い方を学んでから使いましょう」と言うと、
「ちょっと間違えただけで火を噴くものはおかしい」という人が必ず出てくるので言っておきます。
エアガンはそもそも「ちょっと間違えただけ」で自分や他者を殺傷する可能性があります。
そういったモノを扱う人間がそういう言い訳はできませんよね。
また、ニッカドやニッケル水素が完全に安全という訳ではありません。リポが普及するタイミングで事故が発生したように、ニッカドとニッケル水素が衰退していく時にも同様の間違いが起きるでしょう。もちろん今後新しいバッテリーが普及し始める度に同じことの繰り返しになるでしょう。
事故件数をゼロにすることは不可能です。ですが限りなくゼロに近づけることはできます。
初めてエアガンを買った時と同じようにバッテリーを買ったら正しい使い方を学ぶようにしましょう。
■なぜリポバッテリーを使うと銃が壊れるのか
これはバッテリー自体の危険性とは別な問題で、カスタム理論に近い話になります。
というかハイサイクルカスタムにおける壁そのものと言える問題です。
どんなセッティング(サイクル)の銃にも言えることなんですが、
各パーツの動作タイミングがズレた時
その時に銃は壊れます。
そりゃそうです。クローズドされたメカボックス内でパーツを壊せるのはチャンバーに入ってくるBB弾か他のパーツだけです。
じゃあ「タイミングがスレる」原因ってなんだよというと…
・弾の外径誤差やHOPのかけすぎで詰まる→エアブレーキになってピストン前進が遅れる
・ピストンヘッドがシリンダーヘッドに当たってバウンドする
以上の現象が発生した際にセクターギアが回ってきてピストンクラッシュします。
組み込みミスや異物混入以外の故障原因はこのどちらかとなります。
リポバッテリーに変えた場合いに原因となるのは後者です。
リポバッテリーは(同じ体積として)ニッカドやニッケル水素よりサイクルが上がります。そんなリポバッテリーにあろうことかミニコネクタが付いているので接続できちゃいます。何も調整していない銃はピストンがバウンドしているうちにセクターギアが回ってきてピストンクラッシュするか、あるいはスパーやベベルの平歯車が欠けてしまいます。
つまりリポバッテリーへの換装はハイサイクル化と同じことなので、ギアボックス側に何もしなければ壊れる可能性が出てきます。
では具体的にどんなセッティング(動作)の銃が壊れるかというと下記のようになります。
①発射後にメインスプリングが跳ねる音がする
②ピストンの打撃音が複数回鳴る
③箱出しでサイクルが少し早い(16~18発/sec)
①②はピストンのリバウンドにギアが突っ込んで壊れるパターンです。HCでないマルイ純正STDの殆どがコレです。③は中華電動にたまにあるタイプでラックギアがフルティース(歯が一枚も削られてないやつ)だとタイミングに余裕がなくなってピストンクラッシュします。
つまりはレスポンスが悪い中華電動か純正でハイサイクルに対応しているマルイHCの箱出し以外は結構危険ということになります。
上記以外の機種は基本的にハイCレートのリポを避けるかハイサイクル対応の処置(ラックギア2枚目の切除、メインスプリングのテンション保持、ピストンリバウンド対策)が必要だと思って下さい。
…
結局は安全管理にしろ適合性にしてもちゃんと理解して使えば安全という話です。
扱い方はもうちゃんと覚えてくれ…って感じですが、使える銃の話はマルイHCがいいです。
この記事書いてて「やっぱコスパええわ」ってなりましたし。
それではまた。(気が向いたら写真入れます)
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