#36.サバゲの昔話

 サバゲやる前からミリオタ(の端くれ)だったし、ガキの頃はデカい公園の隅っこでこっそりとマルイの10禁を振り回していた。

そんな時分から早いもので10数年、気が付けばアラサーになり、有料フィールドで本格的にサバゲを始めてから6~7年が経過していた。

この間に業界も色んな事があって、様々な流行が来ては廃れていったように思う。ハッキリ思い出せる範囲だとマグプルダイナミクスがバカ受けして、それまで「PMCだTROYの7インチだ」と言ってた界隈が一瞬のうちにマグプル一色になり16インチの民生ARが持て囃された頃だったか…

これがアニメでいうと「らき☆すた」とか「ひぐらし」の本放送の頃で、秋葉原にまだマジカル上海が存命していた。2006~7年だから所謂「06年規制」の直後の話だ。

この規制が契機になり血豆上等なパワーでミリオタか今で言うイキリオタクだけの趣味だったサバゲの敷居が下がり、有料フィールドの増加、脱軍装、スポーツ色の濃厚化を経て今日のようなサバゲ事情となっている。

ここまでで大分ワード数が多いが「炎上しない日はない」とまで言われるサバゲ業界はこんなもんだ。日々香ばしいワードが錬成されていく。


さて、唐突に昔話を始めたわけだが、先日「キル…っていう言葉もちょっと前までは言うことを憚られたんだよ」なんて話をセーフティーで話したら案外話題になったというか、これが結構反応があった。

そういえば最近は特にスポーツ色…というかUABでもないのに競技性を求める雰囲気があったり、ルール(レギュレーション)以上のフェアプレーが求められたり、この数年だけでもサバゲ―が変わってしまったように感じないでもない。

まぁクリーンなゲームになっていくのは(他人への強要がなければ)大変結構なことだが、以前は憚られていた言動やプレーが許容されているというのは個人的にはちょっとどうかと思う。

思えば「インターネット老人会」ではないが懐古厨みたいになるのを避けて「こういうことは、こういう事情があったから止めておけ」という話は積極的にしなくなっていたのかもしれない。52年規制…を語る必要は最早ないだろうが、世間から疎まれる業界ゆえ「こういう言動は避けましょう」ということは経緯も踏まえて伝えていかなきゃいけないなぁ…と。

というわけでサバゲというかトイガンが生まれて今日までの話をざっくりして、ちょっとタブーみたいなのを語ってしまおうという訳です。



■大昔■

はじめはエアガンなんてものはなく、駄菓子屋で売ってるような銃の玩具(銀玉鉄砲)を使って至近距離で撃ち合いをするかモデルガンで火薬を鳴らして「戦争ごっこ」するか…という時代で私の親父の幼少期くらいだろうか。伝聞もいいところだが公園でやんちゃしてる程度の遊びであったそうだ。性能は人を狙うなんて無理だし、モデルガンなら発火させること自体がテクニックだった。なんなら見た目は見るからにデフォルメされていた。


■モデルガンの全盛とガスガンの全盛■

先に発展したのはモデルガンの方でメーカー数は圧倒的に多かった。エアガンはまだ実銃を模した形のものが少なく駄菓子屋の玩具よりは上等という具合だ。親父が高校生くらいの頃だと思う(工業高校の授業で鋳物やった時にGM2のバレルの型をとった残骸があることから)。そのあとソコソコ狙えるエアガンが出てきたり、モデルガンが2度規制を食らったり、エアガンのケースレス化(昔はライブカートのリアルさが性能より優先だった)が進んで、連射できるガスガンが出たあたりで形勢逆転となった。SS9000(SS-9)やMGCのM93Rなんかの頃合いか。(ちなみにひぐらしのK1が女児を撃ったのは時期的にも描写的にもSS-9000じゃないかと思う)

この2度の規制というのが一つ目のタブーで大雑把には「金属製の『拳銃型』のモデルガンは許さない」というもので、金属製のものは「銃口を完全に閉塞し」「金色もしくは白色」に限り許すという厳しいものとなりました。またモデルガンのみが規制を受けたことでモデルガンとエアガンが明確に区別されたような気もします(ここまでは「モデルガンで人を撃った」なんて表現が当たり前だった。なんなら今でも漫画、小説でこういう表現が残ってしまっている…モデルガンから弾丸は出せないのにね)。


■ガスフルオート(外部ソース)時代■

背中にタンク背負って、サンセイのフルフェイス付けて、ウッドランド迷彩にALICE装備…分かりやすい時代である。安いプラスチック外装のガスガンがハチの巣にされていた…とは親父の思い出話だが、圧力上げりゃパワーが出るかというとその限りではなく工夫がいる。そもそもHOPが無いので今より至近距離だったのではないか(親父談)。加えてそんな感じだから仮にゾンビがいたなら相当根性のキマった奴だったに違いない。

ところで、この時期に蓄圧式カートリッジ(銃ではなくカートにガスをチャージする)のモデルが2つくらい出たが消えた。後でまとめるが今回語りたいタブーの二つ目である。このあとマルイがいきなり電動ガンを世に送り出して今のユーザーが知ってる業界になってくる。


■電動ガン時代■

90年代に入って皆さんご存知の東京マルイ製の電動ガンが世に出る。PVでは露骨に「ホースなんか生やして動きにくそうっすね」と外部ソースsageで、電動ガンのサバゲでの優位性を前面に出していた(今じゃ信じられない話だが)。が、HOPもなければパワーも無いので「HG」と銘打ったHOP付のモデルが出るまでは優位というほどではなかったとか。またボルトアクションではAPS-2が出てきてSS-9000の独壇場は終わった。そして2005年くらいにVSRが出てきてそこからはVSRの独壇場となった。

これで極悪パワーが消えたか?というとそんなことはなく、当時の業界誌の広告欄は2Jを謳うカスタムがいくらでもあった。スプリングマシマシ、バッテリー大きめは基本だった。ニッカドしかなかったというのもあるが、ラージバッテリーを積める固定ストックの機種が優位でスライドストックはちょっとという具合だ。P90のストックエクステンションやM4、MP5のクソデカハンドガードなんかもその名残で、今にしてみれば時代を象徴するようなパーツと言えなくもない。

結局この風潮は2006年まで続いた…かは微妙である。古くからあるHPなんかでは電動1J、ボルトアクションは1.2Jという暗黙の了解があったように感じる。前述のとおりカスタムとしてハイパワーが存在したのも事実だがHOPもあるわけだし、マルイM14の初回生産分なんかは1J超えててびっくりしたなんて話もある。やっぱ昔の人も痛いの嫌だったんだろうな。


■06年規制と海外製電動ガンの流入■

やっとここまできた。という訳で1J規制の時間だよ。まぁサバゲ的に割を食ったのはエアコキだけなんですが…ていうか規制のきっかけも業界に関係ないおもちゃ屋がキッズにR18売ったりとかそんなだし。事件起こすヤツは大体よそ者なんだよな。

ともかくここまで何となくだった自主規制が法律で明確に1J未満ということになった。これで「めでたしめでたし」ということになって有料フィールドが出てきて今と変わらないサバゲになった。ユニオンとかデザストはこの頃からあるんじゃない?知らんけど。これがサバゲの大衆化(ミリオタ以外に進められる趣味になった)の契機だと思うが実はもう一つあると思っている。

それは海外製の妙に安くて国内メーカーが出していない機種が入ってくるようになったことだ。A&KとかCYMA、AGM、D-Boys等の安中華メーカーだ。なんせHK416とかSTEN-Mk2とか実銃でクソ新しいか古いモデルが平然とモデルアップされててたまげたものだ。何なら円高のせいでM249が2万そこそこで買えたりして滅茶苦茶だった(それまではTOPの10数万をカスタム前提)。

で、これがどう関係してくるかというとゲームで見た銃や所謂「ロマン武器」なんてものの多くが現実的な値段で買えるようになって「FPSで見た銃がある!」とか「~(作品名)で出てきたやつだ!」ということ増えたんじゃないかと思う。店でゲームで出てきた(自分が使ってた)、好きなキャラが使ってた銃があるのは初心者にとって凄くデカかったんだろうなと。なんなら今でも知人を沼に沈めるときに使えるネタだし…

この時期は06年規制の綺麗な面ばかりが取り上げられるが一つ暗い話題がある。「カシオペア事件」というやつだ。カシオペアというのはタナカが開発した同社のペガサスに続くリボルバーガスガンのメカでカートリッジにガスを注入するタイプのメカだった。まぁ消えました。メーカーも対策してホンモノと逆のカートリッジ前面にバルブを設ける機構だったが、国営ヤクザ的には改造して撃てたらダメということで発禁になった。

タブーの2つ目は蓄圧式カートリッジでどうしても許したくないらしい。既に全数がメーカー回収済み(ということに)なっているが間違ってリサイクルショップで見かけても触れてはいけないし話題に出してもいけない。古参っぽいサバゲ―マーが喋ってるところは見たこともない。

タブーの1つ目と合わせてカシオペア自体がモデルガン寄りの顧客がターゲットだったこともあり、モデルガンを趣味としている人は本当に話題にも出さないし、歴の長い(モデルガンも知っている)ゲーマーも気を使ってというか飛び火しないように話題にしないし、「モデルガン」と「エア(ソフト)ガン」は明確に区別している。正直モデルガン業界はちょっと薄暗い。


■ミリブロの興隆とTwitterの台頭■

この話題で年代が2010年代の終わりまで到達する。ミリタリーブログ通称ミリブロというサービスが出てきた。最も古い記憶で中学生の時には見てたので2007~2008年くらいだろうか。これまで色んなブログサービスや個人HPで情報公開していたものがここに集約されるようになった。きっかけはB社(BATTONのこと)が中華電動ガンの分解改造記事を上げたことだと思う。

ここから、それまで点でしかなかったユーザー達、それとメーカーやショップが一つの群になった。そして有料フィールドの増加でクローズドなコミュニティよりオープンなコミュニティが増えた(目立つようになった)と思う。このミリブロ体制はけっこう長く続いたがここに最新情報(コアなショップやチューナーのネタ)がある時からいなくなった。Twitterに引っ越したのである(ついでにそれまで2chで陰口叩いてたのがTwitterで公開バトルになった)。

それが原因でミリブロが過疎ったのかは知らないが、ミリブロの雨後の筍みたいなのが「みんカラ」みたいな(クソな)造りだったりミリブロそのものの情報量が減っていったのは確かだと思う。実際今じゃ殆ど見てない。


■Twitterと○○勢■

プレーのマナーだとかUAB、薄い人、サバゲ女子、エンジョイ勢、トレポン、SpeedQB、タクトレ、炎上(物理)、店長逮捕…この数年で話題に事欠かない業界だがこんなに盛り上がってなかったよなぁ…というのが個人的な感想で「こういうのって5chの仕事じゃん?」とも思ったり。まぁ盗難、火災、逮捕は稀によくある事件だが○○勢って人を括る雰囲気が同時に出てきた。それまでは装備(WW2米陸軍、ベトナム、BHD等)による括りか純粋にサバゲが好きという程度だったが、この言葉が出てきてからある種の対立構造ができたと考えてる。

発端はなんかプロフィールみたいなののテンプレだと思う(否定する気は全くないが功罪を語るのは自由ということで…)。

UABみたいな競技性が出てきたりってのはそれ自体が問題というよりは集団を括るのに便利な言葉が出てきてしまったことが問題なんじゃないかと。個人的には今の嗜好の違いからくる対立構造ってコレが原因だと思ってる。


…これ以上語ろうとすると今のサバゲについてって話になっちゃうのでここまでで。構想もなく日を跨いで書いてるので起承転結のある文章ではないですが、一応のオチとして問題として取り上げた話の回答みたいなのを書いて終わりにします。

二つあって一つ目はタブーが今のサバゲに何の関係があるのかって話です。モデルガンは関係ないし、パワーについては06年規制で終わり…とはならなくて。「ハーフメタル問題」と「Co2・外部ソース問題」に関わってきます。前者はモデルガンの話、後者はパワー関係の話です。KWCのハーフメタルのCo2なんかがモロに該当します。

二つ目は○○勢問題です。まぁもうしょうがないって話なんですが、個々人がある程度この趣味の中である種の解脱なり達観をしないといけなくて「ああいう人もいる」と納得できないとゾンビやら硬い人と同じで結局自分自身が楽しくなくなっちゃうよという話です。変な人しかいない趣味が大衆化して比較的オタクじゃない人がオタク界隈あるあるの問題に差し当たってるのかなと。結局は内面的な話なんですが何か「○○勢」って言葉を中和する便利な言葉を考えていく必要はあると思うんです。

まぁなんかクッソ語ったけどタブーはマジで法律関わるから触れるな、めんどくさい趣味だけど初心に帰って純粋にサバゲ楽しもうぜ。GoPro買うといいっすよ。人にも自分にも文句言えなくなるし、帰って動画見返してサバゲ行きたくなるんで。あーサバゲ行きたい。

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