#41.閃光のハサウェイをガノタ以外にも見てほしい

 先日、滅多に行かない映画館に行って見てきました。

期待を裏切られました。もちろん良い意味で。


アニメを見に行ったと思ったら実写映画だったというか、実写映画が元々あってそれをアニメーションにしたような感覚でした。作中に子供が出てこないこと(ヒロインのギギの19歳が最年少)やキャラデザが全体的に頭身高めで顔細目であることも要因でしょう。加えて最も大きい要因は光の当て方(撮影)にあると思います。中盤の戦闘シーンが顕著ですが、その前のハサウェイが散歩から戻ってきて明りの無いホテルの一室で夕食を取り仮眠を取るまでのシーンは映画のワンシーン(これも映画なんだが)のようです。


作品全体の雰囲気がいい意味でガンダムっぽくなく、単体の、ひとつの作品「閃光のハサウェイ」として見ごたえのある物でした。わざわざタイトルのアタマに「機動戦士ガンダム」なんて付けなくてもいいじゃん、っていう。


また閃光のハサウェイ自体がハサウェイ一人の物語として完結しているので、直接の前日談となる逆襲のシャア( Char's CounterAttackでCCA)はともかくとしてファースト、Z、ZZ、UC、NTは見なくていいので(※)新規の人も見れる内容だと思います。

※ファーストはアムロとシャアの確執の根源、ZではCCAでのシャアの動機、ZZとUC、NTは完全に関係ない話です。基本的にCCAだけ見ておけば閃光のハサウェイのシナリオは理解できます。

そんなわけで「今作はハードル高くないよ!」ということを声を大にして言いたくなったので「今作単体で見て全然OK」って言える理由を挙げていきたいと思います。


登場人物、メカが少ない

先に記したとおりガンダムって話が長いので人物もメカも沢山出てきて覚えないといけない…ということは全くないのですが、作品に触れるに当たって知らないものが多いというのは参入障壁であると言わざるを得ません。
ですが今作に限った話では主要キャラは4人(ハサウェイ、ケネス、ギギ、レーン)、メカは4機(Ξ、ペーネロペー、メッサー、カールグスタフ)だけなので苦労がない。
それこそ最近のガンダム(seedとか00)なら1話で4機ガンダムが出てくるので、それだけでも今作のコンパクトさが分かると思う。

今作からでもストーリーが分かる

これも前述の通りだが加えて申し上げるなら、一人の青年「ハサウェイ」とテロリスト「マフティー」の二つの顔を持つ主人公の苦悩を描いた作品だから過去作の人名や出来事が出てきても「そんな人(出来事)がいた(あった)のか」と流してしまって問題ない。むしろそのくらいで流して今作の登場人物の動向に注目してしまっていい。
私自身、劇場で見ている間は過去作の情報が邪魔をすることはありませんでした。(※)
もちろんハサウェイの思想に大きく影響しているCCAは見ておくに越したことはないが、環境問題と政府の腐敗という思想上のテーマは簡潔に描写される(人々の環境へ無関心、政府高官のモラルの無さ等)ためザックリした理解で十分に楽しめる。

※唯一例外を挙げるならクェス(ハサウェイの過去カノ、なんやかんやで死んだ)の存在があるが、この女が何なのかは未だに分かりません。富野監督(原作者)が好きそうな女というだけです。

映像がとにかく凄い

もうこれは劇場に行って見てくれ…としか言い様がないが戦闘シーンの激しさは言うに及ばず、日常パート(?)の細かな演技の描写、再現度の高い背景。何を取ってもケチを付ける余地はなく凄いものを見るというだけでも満足できる内容となっている。
個人的には日常パートの細かい部分に推したい所がいくつもあるのだが、やはり華と言える戦闘シーンは兵器の巨大さとそれが持つ「力」がこれでもかと言うほど伝わるように描かれている。積み木のように軽々と崩れ落ちるビル、はじけ飛ぶ熱線で溶ける自動車、爆風で吹き飛ばされる人々、メカ主観ではなく足元にいる人間の目線で見せつけられる。
こうした描写が過去に無かった訳ではないが、技術的に厳しい面もあり理想的に動画となったのは今作が初と言っていい。また、設定上今作の戦闘は空中戦がメインとなるためコックピットからの一人称視点に映る景色とそこに映りこむ計器(速度計とか高度計の表示)まで書き込まれていたり、ミサイルとビームを織り交ぜたドックファイトはさながらトップガンのような戦闘機同士の戦いと思うほどのスピード感である。これも技術面の進歩によるところが大きい。鮮やかで微細な日常パートとダイナミックかつスピーディー戦闘シーンを楽しむだけでも十分満足できます。

全てのメカが立体化されてる

え、関係ないだろって?そんなわけない。ドハマリした作品のプラモが出ていないことがどれだけ辛いことか。男性(と、ごく一部の女性)に限った話ではあるがウキウキで劇場を後にした人が悲しみの底に落とされないことは良いことだと思う。それだけプラモとの関係性の深いコンテンツなのでこれは重要なことなんです。それこそ主役機以外がモデルアップされている外伝(短編)作品というのは他になく、逆説的にはそれだけ制作陣とスポンサーが一丸となって作った作品なのでクオリティの面で妥協は一切ないと断言できます。

独特な台詞の押収がない

ガンダム作品(特にファーストからCCAまでの最初の世界観の作品群)はニュータイプと呼ばれる宇宙に出たことで今まで使っていなかった脳の領域が覚醒した、妙に勘が良い人たちが主語や目的語を省略した独特な言い回しでストーリーの根幹に関わる会話をしていた。
これが今作(というかUCとNTを除くCCA以後の作品)ではそれが神格化されなくなり、戦闘シーンでは多少その気は残っているが戦闘中に理路整然とした会話が続くのも変な話だし、何よりハサウェイの物語(とそれを追い詰める指揮官ケネスとの男の静かな戦い)が本筋だから歴代作品のそういった臭い部分というのは目立たないと思う。


まぁこれだけ良いところを挙げてもやっぱり「臭いものに蓋してる感」は拭えませんね。個人的にはガンダムだってこと忘れて見れてたんですが、それもキャラデザがかなり大人びていることが大きいだけな気もします。

ただ、3部作の最初ですし初見の人もわからんところはそれでいいでしょう。そんなことより大人になり切れないハサウェイと大人として慣れ過ぎたケネス、年不相応な魅力を持ったギギ、この三人の動向に注目してもらいたいです。

あ、そうそう。
ハサウェイは絶対童貞だとか抜かしてるオタク。美少女に誘われてスイートルーム入って会話できる男が童貞なわけないだろ。お前、どうなん?

それではまた。

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